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処刑の掟 表向きはフリーのカメラマン・速見誠の素顔は、高額で確実に他人の死を受け負う傭われ殺し屋だ。 今度の相手は、元首相・沖本と前首相・佐倉の韓国独裁政権との利権のパイプ役として暗躍し、 その強大な組織力を誇る企業暴力団・大東亜会の会長安川だ。首尾よく安川をうちとった速見だったが、 その直後、正体不明の敵の手痛い待ち伏せにあった。 「俺を罠にかけたのは誰だ!」 深手を負い朦朧とした速水の意識に、 やがて現首相田口とその刎頚の友・水野の醜悪な顔が浮かび上がった・・・。 復讐の鬼と化した速見は、非情で執拗な反撃を開始した。 巨匠・大藪春彦が放つ、激情のハードボイルド長編!! |
S53.8.10 徳間書店発行 OHS第三期版No.58
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タイトルは「ころしのおきて」と読む。 この作品はオープニングに主人公のプロローグ的台詞があることが印象深い。そしてその台詞の最後に「大藪春彦」と記してある。強大な権力に対する作者の怒りをこの1頁目だけで感じてしまう。主人公は速見誠。年齢は34,5歳。彫りは深いが荒削りな顔。130センチの胸囲。骨太だ。 |
<主人公にフォーカス> 速見誠:主人公。愛車はBMW3.0Si。表向きの職業:FreeのProfessional Photographer。タバコ:セブンスター。大藪HEROの中でもかなりお洒落。自炊派。本職は傭われ殺し屋。正式に所有している銃:ライフル3丁、散弾銃2丁。サングラス:レイバン・ディコット(GREEN)。隠れ家から選んだのはM16A1自動カービン、レミントン40XB改。サヴァイヴァル・シーンに注目だ。水野、田口に復讐の炎を燃やす。杉並のアジトには2トン近い重量のおびただしい量の武器・弾薬。英国情報部で半強制的に働いたこともある。ストーナー63A、コルト・パイソン357マグナム。冴子の胃から宝石を回収するシーンは圧巻。印象的なのは「晴れ姿」の章。全身をウエスタン調の服装でキメてきた速見に大藪ファッション・オブ・ザ・ヒーロー賞をあげたい位だ。水野、田口の過去が大藪氏らしい。ウージー短機関銃、無反動砲、ロケット砲と後半になるにつれ、ますますエスカレートする速見。だが、捕われの身に。クライマックスは最終章「不屈の意思」。読者を一気に読ませる大藪ノベルズ中期の最高傑作のひとつだ。 |